ステイトメント

日比谷泰一郎

今回の展示のお話を頂き、一作家として大変光栄であり、また日本画の転換を露骨に示すものになればと思っております。 私自身、日本画という学科に在学していながら、日本画とは何なのか、常に疑問でした。大学では、挑戦的に日本画学科内のコンクールでファッションショーを行い、特別賞を頂いたことや、学部の卒業制作では立体インスタレーションを展開するな ど、常にやりたいことを自由にさせてくれる環境でした。終いには、日本画とは何かという質問に、日本画とは君たちで探すものだと言い切られたりもしました。そのような中、世間には日本画というカテゴライズが明確に成されてない中、日本画専攻とは本当に名前だけの存在であると実感し、 ある意味で若いこれからの世代が日本画を「探す」必要性があると感じています。

ではこれからの日本画とは何か。世界では、日本のアニメーション、漫画、そこから始まる一種のキャラクター性、それに伴う草食男子の流行、没個性、反比例するように注目される東京ガールズファッション、コスプレイヤー(男子もいる)など日本独自のCawaiiもの、といったサブカルチャーに注目が集まっていました。しかし、現在は東日本大震災による原子力発電の今なお続く脅威が注視されています。そのような中で、現状を直視出来る日本の作家として何が出来るのか、必死に考えておりました。

今回はその一つの答えとして、前述した日本文化や原発の脅威の現状を、自分のフィルタを通し作品化し、伝えることが、日本の作家としての使命だという結論に至りました。また、日本画として世界と闘うためにも、西洋画と対抗するための日本画や、屏風や掛け軸といった生活文化と密接だった日本画のように、 現代の時代や文化を反映した作品が、日本画として改めて定義される必要性があると感じています。

以前は日本の文化の象徴として、女子高生像を多く描いていたのですが、今回は、緊迫した現状の中での緊迫感のない日常、マスメディアと比べ物にならないほどの情報量だったソーシャルメディアの活躍、その中で情報を選びだし、安心や不安に繋げる人々の存在と、そのような情報から孤立した人々の共存する現状、こういったものを表現したく思いました。

日本の小さいマーケット用に、いかにも売れるような作品制作することや、団体展用に作品制作をしていること、思考を忘れ、ただただ絵を描くこと、現状に直面していても、何一つ変わらない日常を生きようとする作家が多く、そういった表現することの意義を考えさせる発端となればとも思っています。ここまで、日本画の現状やこれからのあり方、今回の展覧会への思いなどを書きましたが、現状の私個人としての問題は何一つ解決には至っていません。

一作家として、これからの行動指標が明確に定まっていないのです。この要因は大きく3つあると思います。まず1つは、現在、学生という肩書き、身分があり、ある意味、言いたいことを言い、作品を制作し、毎日を過ごすといった危機感の全く感じさせない環境にいることで、卒業したあとのビジョン、具体的にどう行動したら世界と闘える作家となれるのか、など見えてこない点です。

2つ目に、前述したように、一表現者として日本の現状やそれに伴う日本画の現状といったことに関心を持ち、思考を重ねてはいるのですが、実際出来上がる私と鑑賞者を繋ぐ作品そのものが、まだまだモノとして未熟である点です。描いている内に、感覚的な部分に引っ張られる部分があり、良くも悪くも最終的な完成像がぶれてします。作品として感覚的な部分が入り、私独自の作品として成立している可能性もありますが、それではただ単に絵を描いているだけと 受け取られてしまう恐れもあります。

3つ目は、意識としてアーティストでありたいと思う反面、実際に絵を描いて食べていくという現実味がない点です。1つ目と重複する部分もありますが、例えば、大学にいる先生方は、作家でもあるが、教授として生活を立てています。卒業した友達は、就職し、金はあるが作家としての時間はないようです。フリーターの友達は、毎日ストイックに制作とバイトを両立しています。このように絵描きとして成立している具体例がいない以上、作家として 現実味は持てません。作品によって人に感動を与えたい、表現の素晴らしさとその伝える力を示したいと、思いは強くありますが、作品そのものと、大きな舞台へのアプローチの仕方など、勉強不足な面もありますが、迷っている部分も多々あります。このような中、作品による繋がりを信じて、日々精進していることが現状です。

デマゴギーの救済, 2011

CATEGORY

CALENDAR

4月 2011
« 3月   5月 »
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  
  • ARCHIVE

TWITTER

SEARCH

ACCESS

〒164-0001
東京都中野区中野5−52−15
中野ブロードウェイ 3F
03-5345-7825
開廊時間:12:00 - 19:00
定休日:通常は水曜定休とさせて頂きますが、その都度お知らせ致します。

マップはこちら