ステイトメント

幕野まえり

今生きてる時代に向き合いたい

自分が描くかどうかは置いておいて、少なくとも漫画が好きで漫画で育ったような人って本当に沢山いるのではないかと思います。むしろそういう人のほうが今は多い。

私も同じで、幼い頃から絵を描くのと漫画が好きで中学からは自分でも漫画を描いて、初めて同人誌即売会に出展したのは高校に入学したすぐの頃でした。(封神演義の同人誌でした。)美術高校に入って、専門コース選択の際、体験した岩絵の具が好きになって日本画コースを選択しました。最初に日本画コースで模写をさせられたのは、漫画の原型ともいわれる「鳥獣戯画」で、ウサギとカエルが人間のようなひょうきんなポーズをとったその絵の輪郭線がとても・漫画的だったことに、衝撃を受けたのを覚えています。

高校では日本画やデッサンをやりながらも、家に帰ると、誕生日に買ってもらったペンタブレットでパソコンで漫画風の絵を描き、インターネットのお絵かきBBSに絵を投稿したり、自分の絵のサイトを更新したり日記を描いたり。同じように更新されている友人のサイトや絵を見る。学校の休み時間は友達と漫画を交換して読みあいをしたり、イベント前になると自分の漫画原稿を制作。(それも男男恋愛のボーイズラブ同人誌でした)。それが私の高校時代のリアリティでした。

それは今もあんまり変わっておらず、ボーイズラブや性倒錯をテーマにした絵画と漫画を制作している。自分でも何故なのか時々不思議に思いますが、現代に自然に生きて、そこにさらに生まれる興味や欲求を凝縮して作品にする事がとても大切な気がして、信じて続けていきたいと思っています。

私は日本画コース出身ですが、今、絵画作品はアクリル絵具で描いています。それは耐久性や乾きの早さを考えてごく自然に至った結果です。日本画コースの時は麻紙を買うお金がなかったので、ケント紙に日本画の絵の具をのせて描いていました。私が言うまで誰も気づきませんでした。大切なのは何で描かれているかではなく、その絵に何が見えるか、それだけに尽きるのだと解った出来事でした。

そして、こんなふうに日本画や自身の制作の話しと絡めながら今回の、展示にあわせて、メンバーと共に企画の会議を重ねていた3月に、東日本震災がありました。展示までの期間、被災地の実情などを情報交換をしたり、何ができるかどうか話し合いを行っていました。(京都組はライブペインティングを実施し、配信する事になりました。)

美術に限らず、いわゆる偉大な先人達はその時代に真剣に向き合い、その時代の自分のベストを尽くしていたはずです。その思考錯誤に敬意を払い、私達も現代に生きて、先人の真似ではなく、自ら考え試行錯誤をしていく事が求められているはずです。

東日本大震災による原発事故から見えてきた日本のゆがみのようなものは、自ら精進しようとせず、既にある体裁や豊かさを公益に反してでも守ろうとしている一部の人間によるものなのだと知りました。それを知ったときは怒りと同時に情け無さがこみ上げてきました。そういった構図は現在の、日本画というフォーマットに表現を拠って、マーケットを維持する事で自ら新しい表現方法をそれ以上追求しない日本画という分野の構図にも似ている事にも気がづきました。

今は、ツイッターやSNSなどで、同じ好きな事や興味を持つ者同士が簡単に繋がることができ、コミュニティ(クラスタ)や人の交流は固定化されていきます。日本画、美術もアーティストも、オタクも、社会性が無く「好き」だけでは一つの閉じたクラスタであるに過ぎません。

漫画という広く共有されたひとつの人物表現が、多くの共感と興味を得るように、現代という時代と社会に向き合い、それを反映させた作品をそれぞれが真剣に表現していく事がこの日本画ZERO展の目指しているものだと私は思います。美術の代名詞として散々言われている「道楽」などではなく、私達が今の日本に対してできる仕事を、真剣にやっていきたいと思います。

制作風景
あぶなかったァ・・・, 2010
 
アートエンジェル達のお出ましか, 2010

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