ステイトメント

坂上祐斗/げみ

日本画という言葉に疑問を持ち始めたのは、1年ほど前の大学での合評の事でした。

僕が日本画コースに入学したのは画材の使い方を学ぶためでした。描きたい絵なんてわからないし今のうちに色んな技術だけでも知っておこうという気持ちで入学しました。実際、先生からは紙の貼り方から岩絵具、水干絵具の使い方、膠の作り方など色々と教わってそれを実際に試す、という授業が行われます。毎回その繰り返しでした。絵具がいつもと違うだけでした。

そんな生活を送る中で、友達からデジ絵というものを教えてもらいました。ペンタブレットとフォトショップ等のペイントツールを使った絵の事です。そしてそれを人々に見せることの出来るサイトpixivの存在も教えて貰いました。その世界には、見たことのない絵がたくさん広がっていて 版権の絵からオリジナルの絵、なんでもあります。

それまで教科書に載っているような絵しか見たことがなかった僕にはとても新鮮に感じました。 そこから、大学では日本画コースで技法の勉強、家ではペンタブを買って描きたい絵の模索、という生活を送るようになりました。ペンタブでの絵の制作にも慣れてきたとき、大学で描いてきた絵に対して疑問を持ち始めました。「なんで好きな絵を描いてないのだろう?」という疑問でした。

大学では人物を写実的に描くように指導され、「ここに植物でもいれたら?」とか先生から言われたりしながら、絵を描いていたからです。大学3年のある日僕は、今まで家で描いてきたデジ絵を日本画にしようと思い大学で制作を開始しました。そして合評が行われ、僕は、デジ絵を元にし大学で制作したその絵と、家のパソコンで描いた別のデジ絵のプリントアウトを提出しました。
プリントアウトは業者に頼み、大きめのサイズで出力してもらったものでした。

すると先生からプリントアウトの方の作品を指さされ「これ、日本画じゃないよね?」とバッサリ。岩絵具で描いたものはいつものようにに合評されました。その時、両方自分が描いた絵なのにも関わらずどうして素材で区別されるのか理解することができませんでした。2枚とも自分の描いた絵なのに評価すらされないのが悔しくてたまりませんでした。

その日皆の合評も聞いていて思ったのですが、皆自分の絵を日本画って呼んでいることに疑問を感じました。「岩絵具と和紙と膠を使って描いています。日本画です。」大学の先生方も合評する時は少なからず「日本画かどうか」を意識しており、見た目で分かる画材に突っ込みます。「日本画コースなのだかから岩絵具で描いてよ」と。

先程言いましたが僕はpixivというサイトを使わせて頂き絵もたくさんの人々に見て頂いてます。そのサイト内で絵を何千枚も見ているのですが、ハッと驚くような絵に何枚も出会ってきました。
例えばそのpixivに上げている絵を見た人は「これイラストだよね」とか「日本画だよね」なんておもってなく、そこにある一枚の絵として見ていると思います。絵の良し悪しと画材は関係ないと思うのです。

日本画というものにはそれほどこだわっていた訳ではなかったのですが、その日以来一般的に日本画という絵は「技法」「画材」であると確信し、同時に「本当の日本画ってなに?」と考え始めました。自分は一人の日本人作家として「技法」「画材」の枠を超えた「日本式絵画」=「日本画」があることを伝えたいし、自分も知りたいと強く思っています。そして今の「日本画」を画材という概念から変えたいと思っています。その為には日本の事を考えなければならず、人とのつながりやコミュニケーションが欠かせないと思っています。しかし自分はこの日本のことも、絵画の歴史も、社会も世界もなにも知らない。勉強を全くしてこなかったのです。

しかも、挨拶だってロクに出来なければ、感謝の仕方も、礼儀も知らなかった。それは今までどこか心のなかで、「どうにかなる」「だれかがどうにかしてくれる」「絵さえ描いていればいい」と思っていたからです。何かしたい、そう思ってもなにも出来なかった。こんな状態では自分の話なんて誰も聞いてくれないだろうし、絵だって見てくれるわけがない。

自分の事だけを考えた絵画ではなく、何を伝えていくのか、何をのこしていくのかを考え作品を制作することと、それだけでなく、様々な人々に対する礼儀作法等も勉強していかなくてはならないと思います。作家は絵だけ描いていればいいということではない。

震災後この日本社会にどう自分たちが繋がりを持って行けるのか、その方法が大切になってくるのではないかと思います。この展示をスタートラインとし自身の成長を、日本式絵画を考え人々に伝えるきっかけとしたいと思います。どうぞ、宜しくお願い致します。

制作風景
その中に, 2011
 
上へ、下へ, 2011

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