石井葉子「妖怪イヌジマ」展によせて 村上隆

プロジェクト:イヌジマの石井葉子さん。

プロジェクト:イヌジマを造っている石井葉子さんに初めてお会いしたのは、GEISAI#17の会場でした。普通のGEISAIの朝の風景は、午前10時になると、ゆるゆるとお客さんが入って来てふらふらと作品を見たり、作家と談笑したりしているのですが、あるブースの一角だけが異様な熱気を帯び、10〜20人程のお客さんが絶え間なく、そのブースを取り巻いていて、ダントツで目立ってた、それが石井葉子さんのブースでした。

今のGEISAIは2種類の賞があって、1つは審査員の先生方からの評価を受ける賞。もうひとつは来場者の皆さんに人気投票をしていただいてベスト10を決める賞があります。

石井葉子さんのプロジェクト:イヌジマはGEISA#17で、審査員からの評価はありませんでした。しかし人気投票で6位になりました。6位ですとご褒美に中野ブロードウェイにある、Hidari Zingaroギャラリーでグループ展に出展できるのです。

で、数カ月後にそのグループ展をやったところ、これまたイヌジマさんのところだけに人だかりが出来、あっという間に作品が売り切れてしまいました。ココに来て、僕も「なになになに〜?」と、このプロジェクトの人気は何なんだろか?と不思議に思い、プロジェクト:イヌジマを検索してみました。すると、そのサイトは非常に精巧に造られており、世界観が濃密な事に驚きました。

つまり、岡山の瀬戸内海に浮かぶイヌジマ=犬島という島に妖怪イヌジマという妖怪が住んでおり、そこの妖怪のぬいぐるみをお客さまに購入して頂いて、お客様はそのぬいぐるみを持って、犬島に作者とともに皆で旅をして、妖怪イヌジマの個別の居場所を探し当てる、というなんともややこしいプロジェクトなのです。

ひとつのぬいぐるみ=妖怪イヌジマは、1体が数千円から1万円ほどでアート作品としてはそんなに高く無い部類です。なので、買っていただいた方と旅行をするとか1体1体、WEB上で丁寧に、追跡レポートをするとか、これは既に商行為とかではではなく、つまり、「アート」としか言いようのない、奇妙奇天烈な創作行為なのです。

妖怪イヌジマ:プロジェクトは、里親になったオーナーの心の中に妖怪イヌジマの古里を再発見する=第二のふるさとを発見するプロジェクトなんだ、とハタと気がついたのです。オーナーの苦しいときや切羽詰まった時に、ふと心を解放させる役目を持っている心のスキマを造るアートプロジェクト。

僕はそんな石井葉子さんの妖怪イヌジマプロジェクトを理解した瞬間、深い感動に襲われました。それで、是非、展覧会をやってほしいと思って、今回のHidari Zingaroの展覧会を開催するに至りました。会期は2週間ありますが、初日に売り切れてしまって、、、というか、里親が直ぐにどわ〜っと決定してしまって、イヌジマのぬいぐるみは展示会場に無いかもしれない。

そんなこんなで妖怪イヌジマのプロジェクト。とにかくオリジナリティーもあり、そして未来の可能性もある。とても素晴らしいプロジェクトなので、是非皆さん見に来て下さい。

店主 村上隆

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